週足チャート
日足チャート
4時間足チャート
1. ファンダメンタルズ分析
2026年6月のドル円相場は、日銀による追加利上げと、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢という日米双方の金融政策が大きなテーマとなりました。
月前半からドル円は160円付近まで上昇し、日本政府による円買い介入への警戒感が強まる一方、米国の底堅い経済指標や中東情勢を背景としたドル買いが円安圧力を強めました。
米国では6月5日に公表された5月雇用統計で、非農業部門雇用者数が17.2万人増加し、市場予想を上回りました。
失業率も4.3%で安定し、米労働市場の底堅さが改めて確認されたことで、それまで市場で意識されていた利下げ期待が後退し、年内の利上げまで意識されるようになりました。
6月16日から17日に開催されたFOMCでは、FRBは政策金利を3.50%〜3.75%に据え置きました。
一方、政策金利見通しでは複数の政策担当者が年内の利上げを見込むなど、従来よりもタカ派的な姿勢が示されました。
新体制となったFRBがインフレ抑制を優先し、必要であれば再び金融引き締めに動くとの見方がドルを支える材料となりました。
日本では6月16日の日銀金融政策決定会合で、短期政策金利が0.75%から1.00%へ引き上げられました。
政策金利1.00%は約31年ぶりの高水準であり、円安やエネルギー価格上昇を通じたインフレ圧力への対応が重視されました。
しかし、日銀の利上げ後も円高への反応は限定的でした。
米国の政策金利が依然として日本を大きく上回っていることに加え、FRBの利上げ観測が強まったことで、日米金利差が引き続きドル円を押し上げる構図となりました。
月後半にはドル円が161円台を突破し、月末には162円台まで上昇しました。
2024年につけた161円台後半の高値も上抜け、円は対ドルで約40年ぶりとなる歴史的な安値圏へ下落しました。
2. 地政学リスク・政治リスク
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中東情勢とドルの安全資産需要
2026年6月は中東情勢を巡る緊張が引き続き金融市場の重要テーマとなりました。
地政学リスクが高まる場面では、安全資産としてドルを買う動きが強まり、ドル円を押し上げる要因となりました。 -
原油価格と日本の輸入コスト
日本はエネルギー資源の多くを輸入に依存しているため、原油価格上昇は貿易収支や輸入物価を通じて円売り要因になりやすい傾向があります。
一方、輸入物価上昇によるインフレ加速は日銀の追加利上げ観測を高めるため、円相場に対して複雑な影響を与えました。 -
日本政府による為替介入警戒
ドル円が160円を超えて推移したことで、日本政府・財務省による円買い介入への警戒が継続しました。
160円台では政府関係者の円安けん制発言への市場の反応も大きくなり、急激な円高への警戒が必要な状況となりました。 -
162円突破と介入ラインへの思惑
月末にはドル円が162円台まで上昇しました。
160円を超えても円安基調が続いたことで、市場では介入が実施される水準を巡る思惑が強まり、165円という次の心理的節目も意識されるようになりました。 -
日本の財政政策への警戒
日本の財政政策や国債市場を巡る不透明感も円相場の材料となりました。
財政支出拡大や国債増発への警戒が高まる場合、日本国債利回りだけでなく円相場にも影響が波及する可能性があります。
3. テクニカル分析
| 時間軸 | 主要ポイント |
|---|---|
| 週足 | 160円の心理的節目を明確に突破し、上昇トレンドが継続。161円台後半の過去高値も上抜け、約40年ぶりとなる高値圏へ突入した。 |
| 日足 | 160円付近で一時的な上値の重さは見られたものの、押し目が浅く高値・安値ともに切り上げる展開。161円台突破後は162円台まで上昇が加速した。 |
| 4時間足 | 159.50円〜160.00円が下値支持として機能しやすくなり、161円台を突破。月末時点では162.50円〜163.00円が短期的な上値抵抗として意識される。 |
4. 注目経済指標
| 注目イベント | 影響度 | ポイント |
|---|---|---|
| 米雇用統計 | ★★★★★ | 米労働市場の底堅さが確認され、FRBの利下げ期待後退と米金利上昇を通じてドル買い材料となった。 |
| 日銀金融政策決定会合 | ★★★★★ | 政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げ。歴史的な高水準となったものの、ドル円の下落は限定的だった。 |
| FOMC | ★★★★★ | 政策金利を据え置いた一方、今後の金融政策についてタカ派的な見方が強まり、ドルを支える材料となった。 |
| 米インフレ指標 | ★★★★★ | インフレ高止まりが確認されればFRBの利上げ観測を強める一方、鈍化すればドル高修正につながる可能性がある。 |
| 日本政府・財務省発言 | ★★★★★ | 160円から162円台への円安進行を受け、為替介入を巡る発言への市場の感応度が上昇。発言内容次第では短時間に大きく円高へ振れるリスクがある。 |
| 中東情勢・原油価格 | ★★★★☆ | 地政学リスクの上昇はドルの安全資産需要と日本の輸入コスト上昇の双方から、ドル高・円安要因となりやすい。 |
5. 6月の戦略シナリオ
| シナリオ | 注目水準 |
|---|---|
| 強気シナリオ | 161円台後半の過去高値を明確に上抜けたことで上昇トレンドが継続。162.50円〜163.00円を突破する場合は、164.00円から心理的節目となる165.00円方向への上昇を警戒する。 |
| レンジシナリオ | 160.00円〜163.00円を中心とした高値圏レンジ。FRBの金融政策観測と日本政府の介入警戒が上下双方の材料となる。 |
| 弱気シナリオ | 160.00円を明確に割り込む場合、158.50円〜159.00円付近まで調整する可能性。為替介入が実施された場合は短時間でさらに大きく下落する可能性がある。 |
リスク管理
- ドル円が約40年ぶりの高値圏へ入っているため、過去のチャート上に明確な抵抗帯が少なく、心理的節目を重視する。
- 162円台以降は日本政府による為替介入リスクが高まるため、高値追いのロングポジションでは急落に注意する。
- 日銀が政策金利を1.00%へ引き上げても円安が続いたことから、「日銀利上げ=円高」と単純に判断しない。
- FRBの金融政策見通しが変化すると米金利とドルが急変しやすいため、米雇用統計・CPI・PCEなど重要指標の前後ではポジションを抑える。
- 中東情勢のニュースによって原油・米金利・ドルが同時に動く可能性があるため、地政学ニュースにも注意する。
- 為替介入が実施された場合、数円規模の急落が短時間で発生する可能性があるため、逆指値を設定せずに大きなポジションを保有することは避ける。
- 1回の取引で総資金の2%以上を失わないよう、損切り幅とロットを事前に設定する。
2026年6月のドル円相場は、日銀が政策金利を1.00%まで引き上げたにもかかわらず、円安がさらに進行する結果となりました。
一方、米国では底堅い雇用情勢とインフレへの警戒を背景にFRBの利下げ期待が後退し、米金利とドルを支える環境が続きました。
この日米金融政策の組み合わせによって、ドル円は160円を突破した後も上昇を続け、月末には162円台へ到達しました。
過去の高値も突破し、円は対ドルで約40年ぶりとなる歴史的な安値圏へ下落しています。
6月の最大の特徴は、「日銀が利上げしても円高にならなかった」という点です。
日本の政策金利が1.00%まで上昇しても米国との金利差は依然として大きく、米金融政策のタカ派化も重なったことで、ドル買い・円売りの構造が維持されました。
今後は162円〜163円台を維持できるかが重要となり、上値では165円方向への上昇余地を意識する一方、日本政府による為替介入には最大限の警戒が必要です。
7月に向けては、FRBの金融政策見通し、米インフレ・雇用情勢、日銀の追加利上げ期待、そして日本政府がどの水準で円買い介入に動くかが、ドル円の方向性を決める主要テーマとなります。