週足チャート

日足チャート

4時間足チャート


1. ファンダメンタルズ分析

2026年7月の金(XAU/USD)は、6月の大幅調整後に4,000ドル前後で下値を探りながら、米インフレ指標やFRBの金融政策見通しによって上下する展開となりました。
月前半は中東情勢による原油高と米利上げ観測が金価格の重石となり、4,000ドル台前半を中心に上値の重い動きが続きました。

7月7日時点ではスポット金が4,144ドル前後で推移し、前日に弱い米雇用関連指標を受けて2週間ぶりの高値をつけたものの、FRBがインフレ抑制を重視するとの見方から上昇は続きませんでした。
市場では9月の利上げ確率が高く意識され、金利上昇への警戒が金の上値を抑えました。

さらに7月8日には、6月FOMC議事要旨で複数の政策担当者がインフレへの強い警戒を示していたことが意識され、9月利上げ観測が一段と強まりました。
中東情勢の悪化で原油価格が急騰したことも、インフレ再加速とFRBの金融引き締め観測につながり、金は4,060ドル台まで下落しました。

一方、7月14日に発表された6月米CPIでは、前年比上昇率が3.5%となり、5月の4.2%から大きく鈍化しました。
インフレ鈍化を受けて米金利とドルが低下し、金は2%を超えて上昇する場面がありました。
これにより、FRBが早期に追加利上げを実施するとの見方は一時的に後退しました。

しかし月後半には、中東情勢を背景とした原油高が再びインフレ懸念を強めました。
7月24日時点ではBrent原油が一時100ドルを上回り、市場では9月のFRB利上げ確率が80%を超える水準まで上昇しました。
金は4,000ドル前後で押し目買いが入る一方、米金利上昇によって反発が抑えられる状態が続きました。

7月29日から30日に開催されたFOMCでは、FRBは政策金利を3.50%〜3.75%で据え置きました。
一方、複数の政策担当者が利上げを支持したことで、FRB内部でもインフレ対応を巡って意見が分かれていることが鮮明となりました。

FOMC後には長期金利が上昇したものの、金は月末に4,100ドル台まで反発しました。
そのため7月は、6月の一方向的な下落から「4,000ドルを中心とした底固めと反発を試す相場」へ変化し始めた月といえます。

2. 地政学リスク・政治リスク

  1. 米国・イラン情勢
    7月も米国とイランを巡る軍事的緊張が金市場の重要テーマとなりました。
    本来であれば地政学リスクは金買い要因ですが、今回は原油高によるインフレ再加速とFRB利上げ観測を通じ、金売り材料として作用する場面も多く見られました。
  2. ホルムズ海峡と原油供給
    ホルムズ海峡を巡る緊張やタンカーへの攻撃によって原油供給への不安が強まりました。
    原油高が続けば米国のインフレ抑制が難しくなり、FRBの高金利政策が長期化するとの見方から金には逆風となります。
  3. FRBの追加利上げ観測
    7月を通じて市場では9月の利上げ可能性が高く意識されました。
    特に月後半には利上げ確率が80%を超える場面もあり、米国債利回りの上昇が金価格を抑えました。
  4. ドル高と米長期金利
    ドル高と米国債利回り上昇は、金にとって最も直接的な下落要因となりました。
    特に長期金利が上昇する局面では、利息を生まない金の相対的な魅力が低下します。
  5. 中央銀行による金購入
    短期的には金価格の調整が続いたものの、中国人民銀行をはじめとする中央銀行の金準備拡大は継続しました。
    こうした構造的な需要は、4,000ドル前後での下値を支える重要な要因となりました。

3. テクニカル分析

時間軸 主要ポイント
週足 1月高値から続く調整局面にあるものの、3,950ドル〜4,000ドル付近では下値の固さが確認された。長期的には下落トレンドから底固めへ移行できるかが焦点。
日足 4,000ドル前後を何度か試しながら反発。4,100ドル台を回復する場面もあり、6月までの急落から徐々に下値切り上げの兆候が見られた。
4時間足 3,950ドル〜4,000ドルが主要支持帯。上値では4,100ドル〜4,150ドルが抵抗帯となり、このゾーンを明確に突破できるかが短期トレンド転換のポイント。

4. 注目経済指標

注目イベント 影響度 ポイント
米CPI ★★★★★ 6月CPIは前年比3.5%へ鈍化。インフレ減速を受け米金利とドルが低下し、金が大きく反発する材料となった。
FOMC ★★★★★ 政策金利は3.50%〜3.75%で据え置き。一方で複数の委員が利上げを支持し、今後の引き締め可能性が意識された。
FOMC議事要旨 ★★★★★ インフレへの警戒が強く、一部委員が早期利上げを支持していたことが判明。米金利上昇と金売りにつながった。
米雇用統計 ★★★★★ 弱い雇用指標は利上げ観測を後退させ金買い要因、強い結果なら米金利上昇を通じて金売り要因となる。
原油価格 ★★★★★ Brent原油が100ドルを超える場面もあり、エネルギーインフレへの警戒がFRB利上げ観測を強めた。
中東情勢 ★★★★☆ 安全資産需要だけでなく、原油価格とインフレ期待を通じて金へ逆方向の影響を与える可能性がある。

5. 7月の戦略シナリオ

シナリオ 注目水準
強気シナリオ 4,150ドルを明確に上抜けし、米金利とドルが低下する場合は4,200ドル〜4,300ドル方向への反発を想定。インフレ鈍化が続けば金買いが加速する可能性がある。
レンジシナリオ 3,950ドル〜4,150ドルを中心とした持ち合い。FRB利上げ観測と中央銀行需要・押し目買いが相殺される展開。
弱気シナリオ 3,950ドルを明確に割り込んだ場合は3,800ドル台への調整再開を警戒。原油高、米金利上昇、ドル高が同時進行すれば下落が加速する可能性がある。

リスク管理


2026年7月の金相場は、6月まで続いた急落から徐々に下値を固める展開となりました。
月前半はFRBの追加利上げ観測や原油高によるインフレ懸念から4,000ドル近辺まで下落しましたが、同水準では押し目買いが入りました。

特に7月14日の米CPI鈍化は重要な転換材料となりました。
インフレ率が前年比3.5%まで低下したことで米金利とドルが下落し、金は2%を超えて反発しました。
この動きから、金市場では米インフレの鈍化が確認されれば大きく買い戻される状況が続いていることが分かります。

一方、月後半にはBrent原油が100ドルを超える場面もあり、エネルギー価格上昇によるインフレ再加速への警戒から9月のFRB利上げ観測が再び強まりました。
その結果、4,000ドル台前半では戻り売りも強く、明確な上昇トレンドへの転換には至りませんでした。

8月に向けては3,950ドル〜4,000ドルを維持できるかが重要となります。
この水準を維持しながら4,150ドルを上抜ければ、4,200ドル台への回復が視野に入ります。
一方で、米インフレ再加速や原油高によってFRBの利上げ観測がさらに強まる場合には、再び3,900ドル以下を試す可能性もあるため、米金利・ドル・原油の3つを同時に確認したい局面です。